【デジタルイラスト】マスク塗りって何??【サマーブログリレー2022 2日目】
この記事は「ICONサマーブログリレー 2022」2日目の記事です。
こんにちはこんばんは、プログラミング班元班長の鈴木です。
今回はイラストの塗り方に関する技法の紹介です。
私の最近の記事は麻雀やら東方やらで趣味を出していることが多かったので、ここらで一旦真面目な記事を出しておこうかと。
実は私、メインの活動はプロ班なのですが、掛け持ちでグラフィック班にも所属していたりします。
ICONブログではゲーム制作やゲーム紹介などをすることが多かったのですが、1回くらいはイラスト関連の記事を書いてみたかったんですよね。
今回はデジタルイラストの塗りのテクニックのひとつであるマスク塗りのやり方やメリットを紹介していこうと思います!
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はじめに
はじめに、簡単にマスク塗りの概要を説明すると、
レイヤーマスクを使うことで色の調整や修正を効率的に行える塗り方
です。
「ブラシ塗り」とか「アニメ塗り」みたいな塗り方そのものの技法ではないです。
そういった塗りを行うときの小技みたいな感じだと思っていただければと思います。
私がマスク塗りを使い始めたのは割と最近――1年前くらいでしょうか。
マスク塗り自体を知ったのは2年前くらいだったのですが、当初は正直そこまで魅力を感じず、「まあ便利そうではあるけど面倒そうだしいいか~」くらいに思っていました。
しかしある日、好きな絵師さんのお絵描き配信を眺めていた時にマスク塗りを使っていらっしゃったんです。
それで私も興味を持って試しにマスク塗りを使って塗ってみたんですけど、これがまあ快適だったんですよね。
何が快適だったのかは本編で書くとして......
そんなわけで、今ではもう手放せない塗り方になっています!
特に、塗る前に使う色で悩んでしまったり、塗ってから色を修正することが多い方にはおすすめの塗り方ですよ!
本編
そもそもマスクって何?
マスク(レイヤーマスク)とは、レイヤーの一部分(マスクした部分)を隠して非表示にすることができる機能です。
つまり、マスクをかけた部分が非表示になって消えるのです!
百聞は一見に如かずなので、下の例を見てみましょう。
例えば、次のようなレイヤー(ICONのアイコンが描かれたレイヤー)があるとします。
これに次のようなマスクをかけると......
こうなるのです。
マスクをかけた部分(マスクの黒い部分)が消えて、マスクのかかっていない(マスクの白い)部分だけが表示されていますね。
これはあくまでレイヤーをマスクで隠しているだけでレイヤーの絵を消しているわけではないので、マスクを取り除けば......
このように、元通りになります。
つまり、レイヤーの絵を保持したままその一部分を隠すことができる機能、これがレイヤーマスクです。
このレイヤーマスク自体もかなり便利な機能です。
絵の一部分を消す必要があった際に、絵そのものを消してから描き進めてしまうと後から戻すことはできませんよね。
描き進める前にバックアップとしてレイヤーを複製しておくのも面倒です。
そんな時、このレイヤーマスクを使えば元の絵を残したまま一部分を消す(隠す)ことができるというわけです。
戻したくなったらマスクを解除すればすぐに元に戻せますし、消す(隠す)部分を拡げたり狭めたりといった編集も簡単に行うことができるのです。
マスク塗りのやり方
それでは、マスク塗りのやり方について解説していきます。
※今回の解説はCLIP STUDIO PAINT(クリスタ)でのやり方になりますが、マスク機能がある他のソフトでも似たような感じでできる......はずです。
今回はこちらのイラストの顔の影を試しに塗ってみようと思います(いつもサムネイルに使っているiconちゃんのイラストです)。
まず、塗りたい色(今回は顔の影の色)を用意しましょう。
塗り用のレイヤーを準備して、そのレイヤー全体を用意した色で塗りつぶします。
(今回は顔の下塗りレイヤーでクリッピングしているので、顔全体に影の色がかかります)
そうしたら、レイヤーマスクの出番です。
選択範囲が無いことを確認してから、「レイヤーを右クリック」もしくは「レイヤー」タブから「選択範囲外をマスク」でマスクを作成しましょう。
すると次のように塗りつぶしたレイヤーの全体が消えます。
※先ほど「選択範囲外をマスク」したのは、「選択範囲外をマスクする(隠す)=選択範囲は隠さない」ということなので、選択していない部分つまりレイヤー全体がマスクされて(隠されて)全体が消えたわけです。
では、実際に塗ってみましょう。
まず、色を塗りたいレイヤーのマスク部分をクリックします。
これでマスクの編集ができるようになります。
そうしたら、あとは普段通り各々の塗り方で塗っていくだけなのですが、マスク編集で使う色は何色を使っても同じ出力になります。
レイヤーマスクは隠す部分と隠さない部分の情報だけがあればよいので、色の情報は出力に関係なく、透明度の情報だけが利用されます。
つまり、マスクの中で(色に依らず)色を塗った部分は表示され、透明色で塗った部分(消しゴムで消した部分)は非表示になるというわけです。
要は、マスクを選択してから色を気にせず普段通りの塗り方をするだけです。
では、色を変えたくなったらどうすればよいでしょうか?
答えは簡単、レイヤーの色を変えればよいだけです。
今度はレイヤーのサムネイルをクリックし、
変えたい色でレイヤー全体を塗りつぶします。
そうすれば......
この通り、たったこれだけの作業で色を変えることができました。
このように、少しの手間でレイヤーの色を一気に変えることができる点がマスク塗り最大の利点と言えます。
その他の利点については、次の節「マスク塗りの利点」で解説していきます。
マスク塗りの利点
- レイヤーの色を簡単に変えることができる
先述のように、マスク塗り最大の利点は色を簡単に変えることができる点です。
色を選んでワンクリック(塗りつぶし)するだけで色が変わるのです。
そのため、色差分を簡単に作れたり、色の修正や微調整が手軽に行えるのです。
(同じような操作は、クリッピングしたレイヤーに新しい色を塗ったり、色調補正レイヤーを追加することで再現可能ですが、どちらも操作の数が多い上に、レイヤーが1枚無駄に増えてしまうというデメリットがあります)
また、色を簡単に変えることができるということは、後からの変更が容易ということです。
つまり、「塗り始めの際には仮の色で塗っておいて、後で全体の色合いを見てから色を調整する」ということが手軽にできます。
塗りをする前に、色を選ぶのが面倒くさい、使う色を悩んでしまってなかなか塗りに入れない......といった悩みが一気に消えるのです。
少し大げさに言うと、私の感覚ではとにかく色使いという面でのストレスが全体的に軽減されたといったところでしょうか......
- レイヤーの区別がつきやすい
マスク塗りをする際は、基本的にレイヤーのサムネイルが単色の塗りつぶし画像になることが多いと思います。
実はこれに意外なメリットが存在するのですよ......
このように、各レイヤーに割り当てている色が一目で区別できるので、レイヤーに名前を付けなくともどのレイヤーがどの部分の塗りなのかが区別しやすいんです。
例えば上の画像であれば、各レイヤーは下から顔の下塗り、薄い影(薄いのでわかりにくいですが)、影、チークというのが一目でわかってしまいます。
これ、普通の塗り方だとサムネイルがこんな感じになるんですよね。
わからない......ですよね。
描いた直後であれば、どのレイヤーがどの塗りだったか覚えているかもしれないですが、暫く経ってからだと......
こんなの少しシャッフルしたらどれがどのレイヤーだかわからなくなってしまいます。
以上のように、レイヤーに名前を付けなくともレイヤーの区別がつきやすくなるので、レイヤーを探す煩わしさや作業時間を削減することができるのです。
- マスクの編集に使う色は何でもよい
「マスク塗りのやり方」で説明した通り、マスク編集の際には色は何色を使ってもOKで、透明度情報のみが利用されます。
つまり、あらかじめレイヤーの色さえ設定しておけば、作業するレイヤーを切り替えたときにいちいち色を変更する必要がないということなのです!
塗る場所を変えるたびにカラーパレットやスポイトで色を取って......という面倒な作業を省くことができるのです!!
- 塗った範囲の可視化ができる
実は、レイヤーマスクにはもう一つ便利な機能があります。
それは、マスクした範囲を表示できる機能です。
マスクのサムネイルを右クリックし、「マスク範囲を表示」をONにすると、マスクした範囲が薄い青色*1で表示されます。
この機能を使うことで、既に塗った部分はどこなのか、塗り残した部分はないかというのが一目で確認できるのです!
わかりやすい色であれば、わざわざこの機能を使って確認するまでもないですが、塗ったかどうかがわかりにくい色であればどうでしょうか。
例えば、先ほどわかりづらかった「薄い影」レイヤーのマスク範囲を表示してみましょう。
このように、塗った部分がわかりづらかった薄い色や透明度の高いレイヤーの塗った範囲も確認できるのです。
おわりに
ということで、今回は初めてイラスト系の記事を書いてみました。
今回は正直時間がなくて急いで書いたので、少し雑な解説になってしまった気がしますが......
本記事が、マスク塗りやレイヤーマスクを知らなかった方の参考になれば幸いです。
特に色に悩む事が多い方は是非試してみてくださいね!
それでは、また~
*1:マスクした範囲の色や透明度は設定で変更することもできます