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Blenderに関するあれこれとおまけ【新歓ブログリレー2019 2日目】

この記事はICON 新歓ブログリレー2019 2日目の記事です。

はじめに

 初めましてこんにちは、2019年度ICON会長・兼プロ班*1のSoy*2です。

 4月といえばぼちぼち暖かくなるシーズンだと思うんですけど、まだまだ冷え込みが強いですね。

 情報学部の学生さんなら2週間後くらいに「情報新歓」と呼ばれるイベントが有ったと思うんですけど、昨年、この時期でもインフルエンザにかかってしまって行けなかった友人を知っているので、くれぐれも体調管理には気をつけてくださいね。

 

 それでは新歓ブログリレー2日目、今年になってICON内で勉強しようかと話題になっている*3、「3Dモデリング」。その触りについて私からお話しようと思います。とは言っても私自身、まだまだ勉強中の身なので(というか丸々1年近くBlenderを放置してしまったので)、もしガチ勢の方がこの記事を読んでいるようなら「おまけ」の部分まで読み飛ばしてください。

 

3Dモデリングについて

  3Dモデリングとは、コンピュータ上に設けられた仮想の三次元空間上にモデルと呼ばれる物体を作成することです。「3Dモデリング」の「3D」はそのまま、三次元を意味します。所謂3DCGも、このような3Dモデリングによって作成されています。

(恐らく間違える方は居ないとは思いますが、情報学部・行動情報学科で扱われる「モデリング」とは意味が全く異なります。向こうは心理学的な用語だったり、分析対象の挙動と同じような挙動を行う模型を作る、文字通りの「モデリング*4です。ついでに言うとCADとも異なります)

 

 3Dモデリングの手法としては大きく分けて、「ポリゴンモデリング」「スカルプトモデリング」「曲面モデリング」が存在します。

 ポリゴンモデリングとは、ポリゴンと呼ばれる多角形(主に三角形、四角形)を無数に用いることで物体を表現する手法です。後に紹介するフリーソフトウェアであるBlenderに於いても、主にこの手法を用います。

 

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 一年生の時に課題の必要要件を満たすためだけにこんなモデルを作ったりもしました。見ての通り、全体が多角形で構成されており、それに面を貼ったような形になっています。これがポリゴンモデルです。*5

 

スカルプトモデリングとは粘土をこねるような方法によって3Dモデルを作成する手法です。ポリゴンでは表現するのが難しいような形状も比較的容易に作成することができますが、割と重いらしいです。アナログっぽい手法なので、図画工作が得意だった方には一番とっつきやすいかもしれませんね。小学生の頃から図工が苦手だった私は一切手を付けたことがないので何とも言えません。

 曲面モデリングとはスプライン曲線、自由曲面、NURBS曲線などの数学的な曲線を基にして物体を表現する手法です。コンピュータの性能が低かった昔はよく用いられたそうですが、最近はコンピュータの性能が上がった影響から、メインの手法として用いられることは少ないようです。私もこの記事を書くために調べている時に初めて知りました。

Blenderについて

 Blenderとは3DCGを作成するためのソフトウェアの一つで、全ての機能を無料で利用することができます。有志の寄付によって成り立っているからこその芸当ですね。フリー、しかもオープンソースでありながら、後述のMayaのような多機能性が魅力です。その多機能性を何処まで活かせるかは別の話ですが。

 

 フリーソフトウェアと言っても、決して良いものが作れないということはなく、Blenderを利用して作成された素晴らしい映像作品は数多く存在します。


Cycles Demoreel 2016

  

 3Dモデリング用のソフトウェアは、上記のような多くの手法が存在することから、その選択肢も多岐にわたります。

 ポリゴンモデリングを主とするソフトウェアも例に漏れず、プロ御用達のMaya,3ds MAXのような高額ソフトウェア(特にMayaは年間プランで25万円)から、フリーで利用できるBlender,metasequoiaのような初心者でも気軽に手を出せるソフトウェアまで多様なものです。

 今回は、私が愛用していること、フリーソフトウェアであること、現在主流な手法がポリゴンモデル、スカルプトモデリングの二つであり、スカルプトモデリングは少々人を選ぶことから、今回はBlenderを主に取り上げ、その導入と触りについて紹介してみます。

Blenderの導入

~インストール

 ここではWindows環境を前提にあれこれ説明します。Macの方は多少導入方法に差異があるかもしれません。多分有る

 ざっくりいうと、ダウンロードしてインストールしたら取り敢えず起動できます。

blender.jp

 上記のホームページから最新安定版(2019/04/05現在、ver2.79b)をクリックし、表示されるページからDownload Blenderをクリックします。ページが遷移したら自動でインストーラーのダウンロードが始まるので、そのままお茶でも飲みながらダウンロードを待ってください。

 インストーラーのダウンロードの終了後、インストーラーを起動したら規約とか読んだつもりになってぽちぽち進んで大丈夫です。私が知っている限りでは変なツールバーとかインストールされることは無いので。適当に進んでも精々スタートメニューとデスクトップにショートカットが追加される程度なので、邪魔なら消しましょう。それでもBlenderのインストール場所くらいは覚えておくのが無難です。

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 起動すればこんな感じの画面が表示されていることと思います。このままでは全てが英語で表示されているので、英語が読める方は兎も角、英語が不得意な方は次の手順で日本語化を行いましょう。

 

~日本語化

 左上の File ->  User Preferences の順にクリック。或いはCtrl + alt+ Uを同時押しします。

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 上部の[System]をクリックし、右側の最下部に存在する[International Fonts]のチェックボックスにチェックを入れます。 

 Language , Translateのような項目が新たに現れると思うので、デフォルトではEnglishになっているLanguageの欄をクリックし、Japaneseを頑張って探してクリックして選択します。

 このままでは一切翻訳されていないので、Translate欄のInterfaceをクリックします。他はお好みでどうぞ。

 これで恐らく日本語化できたと思うので、左下のユーザー設定の保存をクリックして設定を保存します。

 

~他いろいろ

 このままでもできないことは無いんですけど、ちょっとだけ弄っておいた方が後々困らない項目を紹介しておきます。

 

~テンキーの模倣

 デスクトップPCで作業しているなら兎も角、初めて自分のPCを持つ、そしてそれがノートPCだという新入生の方は少なくないと思います。作業場所を選ぶことがないのがノートPCの利点ではありますが、ノートPCには恐らくテンキーがついていません。

 数字キーが電卓や電話のように配置されているキー群をテンキーと呼ぶのですが、これがついていないノートPCでは、Blenderにおいて重要な一部のショートカットを利用することができません。

 そこで、先程の「ユーザー設定(User Preferences)」の上部、左から3つめの「入力(Input)」をクリックし、左行中央部にある「テンキーを模倣(Emulate Numpad)」にチェックを入れておきます。

 これでキーボード上部の数字キーが、テンキーと同じ挙動を取るようになります。

 

~視点操作の改善

 初期状態では、ホイールボタンをホールド(押し続け)しながらマウスを動かした際、画面中央を中心にして視点が回転する挙動を取ります。捜査対象が常に一つのオブジェクト、それも小型のオブジェクトならばこれでも構わないのですが、弄る物の数が増えてきたり、単純に大型化してくると、かなり扱い辛く感じます(少なくとも私は)。

 そこで、「ユーザー設定(User Preferences)」の上部、左から1つめの「インターフェース(Interface)」をクリックし、中央部、上から5つめのチェックボックス「選択範囲を中心に回転(Rotate around selection)」にチェックを入れておきます。これで選択しているオブジェクトを中心に視点が回転するようになります。

 

~アンドゥ回数の調整

 操作を取り消すことができる回数を増加、或いは減少させます。基本的に多ければ多いほど便利だと思うので、減らすことはほとんど無いかと思いますが…。

 「ユーザー設定(User Preferences)」の上部、左から2つめの「編集(Editing)」をクリックし、左部最下段、「グローバルアンドゥ(Global Undo)」の「ステップ数(Steps)」の数値を左右へドラッグすることでその値を調整できます。増やしすぎると重くなるとの話も有りますから、お好みでどうぞ。

 

 ~選択操作の変更

 デフォルトではオブジェクト、頂点を選択するボタンが右クリックに割り当てられています。完全にこれに適応してしまった私は右クリックでないと違和感を感じるレベルになってしまいましたが、そうでない方は恐らく左クリックの方が直感的で操作しやすいことでしょう。変態になりたくない方はこれも変更しておきましょう。

 ユーザー設定(User Preferences)」の上部、左から3つめの「入力(Input)」をクリックし、左部中央の「選択(Select With)」の左、右から左クリック、右クリックを入れ替えられます。お好みでどうぞ。

 

Blenderの操作について

 ここまで変更できたなら、様々なチュートリアルサイトを参考にしつつBlenderに慣れ、自由に3Dモデル作成を楽しんでみてください。1からの詳細なお話は先駆者様に任せ、此処ではそんな素晴らしいサイトの紹介に留めておきます。

 

www.blender3d.biz

 私が初めてBlenderを触った時に参照したサイト様です。一通りの操作とモデルの作り方は把握できるのではないかと思います

 

 

nvtrlab.jp

 現在S県在住の私の友人が最初にBlenderを触った時に参照していたらしいサイト様です。彼は今では遠いVRの世界に行ってしまった…

 

 

blender-cg.net

 Blenderに関して幅広く取り扱っているサイト様です。Gif画像を添付して視覚的に分かりやすく紹介してくださっているので、とても参考になります

 

 

終わりに

  もうちょっと突っ込んで色々書きたかったところでは有りますが、5000文字Overと思ったより長い記事になってしまった上に、そもそもこの記事を読む方はほぼ初めて触れるという方だろうという事から、入り口までの案内となってしまいました。

 最初はとっつき辛い、難しいといったイメージが強いことかと思いますが、触ってみたら案外どうにかなるものです。この記事によってICON内に一人でも3Dモデリングに興味を持つ方が増えてくれると嬉しいですね。

 

  それでは長文、乱文ではありますが、此処まで読んでくださった方はありがとうございました。これから、或いはこれからもICONをよろしくお願いします!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

本編(以下早口オタク)

 花 譜 を 推 せ

www.youtube.com

 花譜とは

 オリジナルソング、カバーを中心に歌動画を投稿するバーチャルシンガーである。2018年10月より動画投稿を開始し、高校受験のために2019年2月から一時活動を休止していたが、2019/03/20に活動を再開。その前日、2019/03/19にチャンネル登録者数4万人を突破した。運営チームは不明だが、彼女の私生活に配慮したプロデュースは素晴らしいと思う。全然関係ないけれど、この記事も彼女の曲を全部ループ再生しながら書いた。

 揺れるロウソクの小さな炎のように、ふっと軽く吹けば消えてしまいそうな儚さを感じさせながらも、それでいてしっかりと主張してくる力強い、独特な歌声の持ち主である。人によっては、その震えながら掠れていくような歌声を不安定な歌声だと感じてしまうかもしれないが、彼女の年齢や、今が4月という出会いと別れの季節という時期柄だというような背景を考えると、そんな歌声が尚更味わい深く感じられる。

 

 特に、3月の彼女の活動再開後すぐに投稿されたオリジナル曲『雛鳥』では彼女のそのような持ち味が十二分に発揮されている。仲の良かった誰かとの別れという辛い経験をしながらも、その先の未来に力強く羽ばたいていこうとする逞しさを感じさせる歌詞は、彼女の持ち味でもある特徴的な歌声とベストマッチしており、言語化が限りなく難しいエモさの塊で殴りかかってくる。

 


花譜 #17 「雛鳥」 【オリジナルMV】

 このような特徴を持つ歌手を例に挙げるのならば、劇場版Fateの主題歌でもあった『花の唄』や『I beg you』、機動戦士ガンダムUCの主題歌『RE: I AM』を歌い上げる『Aimer』が挙げられるだろう。彼女もまた独特な歌声の持ち主であり、それに付随する卓越した歌唱力によって繰り広げられる世界観は圧巻の一言である。『I beg you』を初めて聴いた時は質量を持って迫りくる圧倒的な世界観に対して少々恐怖を感じたほどだ。

 

 しかし、似通った強さを持っている二人であるが、Aimerの表現は成熟しきった大人のそれであり、花譜とは全く異なる。Aimerが『思い出は奇麗で』のように、思い出となってしまった儚い過去を懐かしむような調子で聴き手の心を揺さぶってくる一方、花譜の歌い上げるそれは彼女が今、リアルタイムで経験しているものなのである。それを私達に伝えることで、彼女は私達の心を揺さぶる。Aimerの表現力と歌声がもたらす力は過去に起因するそれであるが、花譜の歌声は現在の経験に起因するそれに依るものある。ココにAimerと異なる、彼女だけが持ちうる最大の持ち味がある。

 

 つまり、私達が少しずつ大人になるにつれて失っていく何かを花譜は持っていて、彼女は歌声を通じてそれを私達に見せつけてくれる。それは思春期という不安定な時期の真ん中にいる彼女にしか見えないものだ。現在進行系で、私達がその失ってしまった何かに思いを馳せ、懐かしむことが少しずつ得意になっていく一方で、花譜はそれを直視し、見たままの姿を私達に伝えてくれる。きっと、彼女の歌声に感じさせる不安定感、彼女が醸し出す雰囲気の原点はそれなのだと思う。


【歌ってみた】死んでしまったのだろうか covered by 花譜

 

 だからこそ、過去に思いを馳せるような歌には少し演技っぽい、わざとらしい感じが見え隠れする。彼女が見ることの出来るものは現在、或いは未来であり、過去というものは物心が生まれてから10年弱のものでしかない。懐かしむことは、まだ私達ほど得意ではないのだ。歌声からも、彼女が見据えているのは過去ではないということがひしひしと伝わってくる。

 ついでに言うと、20歳前後の私達もまだまだ不得意なもので、まだまだ70前後の私の父や祖母と同じ比べるとその語り口から想起させる光景には色が見える。色褪せてしまった思い出というものは、老齢の彼らにしか語りえないものである。彼らの、何度も何度も、噛みしめるように繰り返される思い出話によくよく耳を傾けるならば、そこには味のなくなったガムのような、皺々なモノクロトーンの光景が見えてくる。そして、花譜は過去を語ることはまだまだ得意としていない。

 

 しかし、過去を語ることが得意ではないということは決して彼女の欠点ではない。喉奥に得体の知れぬ"こそばゆさ"を感じさせてくれるその歌いっぷりは、それはそれで非常に心地いい物である。先から述べている通り、それが彼女にしか表現できないものであるからである。

 自分の声、経験というものは天性のものであり、刹那的なものである。自分が、自分の声に対してどう思おうと、自分の声というものは殆ど変えることができない。個々の経験は他人に対して、言葉という形で共有することはできても、それはすぐに劣化を始めるし、ありありと正確な光景を束の間に覚えていたのも自分だけだ。彼女は一風変わったその声を歌という形に昇華し、彼女の経験にはまだ色がついているという事実を、まだまだ思い出話を得意としない私達の間に共有してくれる。老人達の思い出話による手慣れた心の揺さぶり方とは異なり、不慣れなりに頑張っているその部分に、言いようもない、共感に似た心地良さを感じることが出来るのだ。


花譜 #11 「魔女」 【オリジナルMV】

 もしかすると、今を抱きしめるように歌い上げる、魔女とも言うべき現在の彼女の持ち味は彼女が少しずつ大人になっていくにつれて少しずつ薄れてしまうのかもしれない。彼女の歌声の素晴らしさは一時的なものに起因すると感じさせる部分があるのだから、それも仕方ないのかもしれない。それでも、こうしてインターネットという場でそれが永久に残されるようになった今、彼女の産声はいつでもそのままの形で聴くことができる。彼女はネットで永遠を、それも最も素晴らしい状態で生きる歌姫なのだと形容しても過剰な表現では無いと思うのは自分だけだろうか。

 そんな彼女の活躍と躍進を今後も応援していきたいと思うし、より多くの人に彼女の行く末を見届けて欲しい。

 

 もしこの「おまけ」を最後まで読んでしまった方が居るのならば、お付き合いありがとうございました。歌声ばかりを取り上げてきましたが、動画担当者様の合成技術も素晴らしいものだと思うので、オリジナルMVの映像は一見の価値が有ると思います。そして、Blenderとかどうでも良いので今すぐ彼女のチャンネル登録ボタンを押してきてあげてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 参考文献

https://www.slideshare.net/risaiku/3d-38528920

http://www.cg-ya.net/category/3dcg/

 

*1:ただしソースコードを書くのが上手い、早い訳では無い…。会長≠班長なので、プロ班ガチ勢な話は3日目の班長さんにお任せします

*2:サークル内で導入しているSlackネームと異なりますが、部分的にとはいえ本名をネット上に晒し上げることに抵抗があるが故の対処です。御了承ください

*3:私が話題にした

*4:筆者は情報科学科なので説明として適当であるとは限らない

*5:形が単純なので、実はしずっぴーくんはモデリング初心者向け…?