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静岡大学コンテンツ制作サークルICONの公式ブログです

おすすめ美少女ゲーム紹介

本記事は ICON Advent Calendar 2018 2日目の記事です。

担当させてもらいますは『kiharu』です。

テーマは『美少女ゲーム』となります。

注意事項として、R18ゲームも話題に出しますがそれらの危険な要素は特に提示するつもりはないです。加えそれらの要素を省くにあたり説明が足りなくなる場合があるかもしれませんがそこは自分で調べてください。

内訳としては

1、『美少女ゲームとは』

2、『私の把握している美少女ゲーのジャンル紹介』

3、『おすすめしたい具体的な作品の例示』

4、『あとがき』

と相成ります。興味がある人もない人も、この『最も性癖に寄り添ってくれるコンテンツ』の一つである美少女ゲームについて触れるきっかけになったら幸いです。

*使用するcgは全て私物のゲームのスクリーンショットです。それ以外は公式HPより

 

1、『美少女ゲームとは』

基本的にはノベルゲーム、アドベンチャーゲームを差します。文章と、立ち絵や背景、声や音楽を一つにまとめたコンテンツで、ざっくり言うなら『ずっと挿絵とセリフ読み上げとBGMがある小説』でしょうか。絵があり声があるので文章を読むのが苦手な人物でも楽しめるうえ、小説では不可能なシナリオと絵と音楽が混戦一体として心に刺さる刹那を演出することが可能です。

小説とは文の書き方が違いますし、それをはじめとしてそれぞれの要素がそれぞれの要素を盛り立て他にはない世界観を演出します。

アニメで活躍している声優、ラノベの挿絵をしている絵師、加えラノベの作者がこのコンテンツにも出ていたり、やたらいい歌やbgmが眠っていたりもします。私は萌えジャンルを追いかけていたらアニメラノベの延長戦で自然と美少女ゲーに触れ始めました。アニメ化されている作品なんかもあり、声優や絵師と合わせて『この人の作品もっと見たいなー』と思ったら多分自然とたどり着くコンテンツです。

ここからはそんな多岐に渡る美少女ゲーの軽いジャンル紹介をします。区分は別に美少女ゲーに限った話ではないものですが、個性的なコンテンツな分合う合わないがはっきりしているので、自分に合った作品を考える時に頭の片隅に置いておいてください。

 

 

2、『私の把握している美少女ゲーのジャンル紹介』

・『キャラゲー

多分一番メジャー。いわゆる『萌えゲー』が多い。ヒロインがいて、主人公がいて、二人にわちゃわちゃあって、そしてエンディング。ヒロインを『かわいい』と思うためにあらゆるご都合主義が肯定される歪んだ世界観のジャンル。『幼馴染ヒロイン』とか『転校生ヒロイン』の萌記号が当たり前のように跋扈する。メジャーなだけあって多分ぶっちぎりで作品数が多い。量産された駄作も多く、ゆえに輝く名作がある。(なろうかな?)

癒し。荒んだ心で主人公とヒロインのイチャイチャを見てると心が浄化されてゆく。いろいろ回った後に結局戻ってくるオアシス。ヒロインの声、立ち絵やcg、発言や行動が最も純粋に生かされる。

世界観の幅が広く学園ものから近未来もの、主人公やヒロインらの立場も千差万別する。ゆえに好きなキャラを見つけるのにはおそらく苦労しない。どのヒロインを選ぶかで結末が分岐する。

 

・『シナリオゲー』

キャラゲー』と相反するジャンル。『キャラゲー』をキャラクターを魅力的な物にするための物語とするならその逆。物語がまずあってそこにいる登場人物としてヒロインや主人公が出てくる。

ゆえにシリアスな展開が多く、壮大な物語になりやすい。得てして『グランドヒロイン』が定められていることが多く、シナリオ上の一つの結末が用意されている。シナリオロックがされていることも多い。作品を通してプレイヤーに何らかのテーマを伝えようとしているため心に残る『名作』が生まれやすい。

グランドヒロイン、つまり『運命の相手』がいたり、必ずしもハッピーエンドではなかったりヒロイン死亡が割とあったりと人を選ぶ作品が多い。が、それゆえに『人生を歪ませる』作品がある。

 

 

上記の区分は明確には定まっておらず、どちらの要素をより濃く持っているのかという基準になる。ライターが意図せずシナリオゲーになったり、シナリオのせいで際立ったヒロインがキャラゲーのそれとは別次元の魅力を持ったりと一概にいうことはできない。どんな作品でも一定数の需要はあるのでどの比重が高いほうが好きとかは個人の趣味、性癖による。

私はおもっくそ重いシナリオゲーやって沈んだ気持ちを脳死キャラゲーで癒すのループをしてます。

 

この区分以外にも

・ヒロインに癒されることに終始した『萌えゲー』

・家族愛、生死感などを持ち出して感動を誘う『泣きゲー』

・中二要素を多分に含んだバトルものでヒロインそっちのけの『燃えゲー』

・心が痛むような展開や言動が多いが謎の中毒性を持つ『鬱ゲー』

他多数の区分があり、それらの要素が混同したゲームが多く発売されています。

 

『女装潜入もの』というジャンルがあったり、それが大手のアワードで総合大賞を取ったりする割と魔境な『美少女ゲー』の世界。

今回は私が読了したゲーム3つ、3ジャンルのゲームの魅力を紹介します。

ラインナップは

・『Dies_irea(light)』

・『紙の上の魔法使い(ウグイスカグラ)』

・『サクラノ詩(枕)』

です。2つめ以外は超有名作品です。

私の趣味が大きく反映された人を選ぶ作品です。特に2作目。

3、『おすすめしたい具体的な作品の例示』

では一つ、皆様私の歌劇をご観覧あれ。

Atziluth――
Atziluth――

その筋書きは、ありきたりだが。

Du-sollst――

役者が良い。至高と信ずる。

Res novae――

ゆえに面白くなると思うよ。

Dies irae

Also sprach Zarathustra

 

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op:

www.youtube.com

一作目はlightより十年前に発売された学園伝奇バトルオペラADV『Dies_irea』及びその関連作品。ジャンルとしては『燃えゲー』。大手のアワードではいつも『燃えゲー賞』を受賞している会社lightで製作されたいろいろな意味で大作。あと主人公もフルボイス。

あらすじ:(参考:正田崇wiki)

時は2006年日本。数カ月前、悪友と殺し合いの喧嘩をし数カ月入院していた主人公『藤井蓮』は退院後に訪れた博物館の奥で展示されたギロチンに少女の影を見る。その後寝るたびに訪れる『自分がギロチンにかけられる』悪夢にうなされたある日、目が覚めると目の前には首を斬られた人と自分を『ツァラトゥストラ』と呼ぶナチスドイツ軍服を着た男女。現実が崩れ行く中、『日常』を守るため血に濡れた刃の少女を身に宿す。

第二次世界大戦時のナチスの生き残りである聖槍十三騎士団との戦いを描いたバトルものである。騎士団との戦いとその野望を通し、「人間が現実の世界を生きる」ということを語りかけるのが大きなテーマであると言え、ライターによると「人の弱さを愛する」も大きなテーマのひとつとされる。裏テーマに「家族愛」があり、登場人物には家族関係にまつわる設定が何かしらある。

「学園伝奇バトルオペラADV」と称される通り、派手で熱い能力バトルが多く繰り返されるが、その実上記のような哲学的テーマを多く盛り込まれている。作中の設定には北欧神話キリスト教、歌劇からの出典が多く見られる。

 

内容は『突き抜けた中二インフレ異能バトル』。

能力やキャラクターの設定の暑苦しさ、地の文がすさまじくねちっこいなど一周して面白いまで突き抜けた中二要素の塊。一人が持つ名前が本名、武器の名前、魔名、偽名その他数多くで呼ばれ、地の分で出てくると誰のことを話しているのかわからなくなること請け合い。敵の集団にしても『聖槍十三騎士団黒円卓』ですよ。名乗り上げのシーンなんて『聖槍十三騎士団黒円卓第12位大隊長ヴォルフガング・シュライバー―フリーズヴィトニル―』です。

その分癖になるその重厚な世界観は十年たった今なおアニメ化や続編アプリが出るほどの人気がある。アニメ化に際してのクラウドファンディングは日本最高額を突破している。(ただ、アニメ版に関しては設定が重厚な故原作勢じゃないとわけわからないと思う。)

同じく『燃え』の代表であるニトロプラスの『装甲悪鬼村正』や型月の『Fate』らと比べても異能バトルのインフレがすさまじく、アメコミと競えるほど。そもそも『燃えゲー』は創作の中でもインフレがしやすく『最強スレ』なんかの常連だが、その中でも頭一つ抜けている。

シナリオライターの正田崇、通称14歳神が描く世界観は独特で『ヒロインより敵の男を魅力的に描くのがうまい』といわれる人物。そんな『Dies‗irea』はとにかくキャラクターが男も女もかっこいいのが特徴。みんなが考えて苦しんで自分の渇望に向き合い葛藤する姿はとても熱く、基本的にご都合主義なんてもの糞喰らえの世界観のため救いは自分の手で勝ち取るしかない。そんな世界観を象徴するメタ要素を含みご都合主義を否定するセリフがシリーズを通して数多い。

『泣いて祈れば降りてくる奇跡なんていらないのよ!いつだって戦い、勝ち取る。邪魔なんてさせない…』

『俺と、お前と、先輩で勝つ。三人で勝つんだ。誰も死なない失わない、最高にかっこいい完全勝利…それが…俺たちの勝利だろ!』

『そう、俺だからわかる。俺にしかわからねえ。もう一つ、主役の条件ってのを教えてやるよ。『神の玩具』だ』

『神様に頭下げて、摩訶不思議な神通力でも恵んでもらって、そんな自分は強くて凄いだぁ?ふざけんなこの根性なしどもが!』

『来いよ新鋭、主役を気取りたいんだろうがぁ!その何たるか!先人(俺)が教えてやるからかかってこい!』

次回作はこの『Diea_irea』の主人公が中ボスになっており、主人公の時以上の存在感で主役を食っている辺りやはりこのライターは敵を描くのが得意である。

総じてキャラや世界観が素敵な作品で尚且つ『ツァラトゥストラ』の名のようにループものなのでグランドヒロインがいるためシナリオゲーにはなるが、シナリオやキャラの設定が重厚なうえ互いに引き立てあっており入れ込んだら抜け出せない魅力がある。

この作品はbgmにも力が入っている。与猶啓至が担当する各場面、特に戦闘シーンのそれは非常に熱い。

Bgmと合わせてこの作品の最大の魅力はやはり『詠唱』シーンか。戯曲をベースにいわゆる『必殺技』使用時唱えられるそれはbgmと声優の熱演も合わさり一番の見せ場ともいえる。まず長い。技名のみの発動が当然の昨今の異能バトルではありえない分超え、複数人詠唱なら3分にすら迫る。以下、主人公の第一詠唱。

 

日は古より変わらず星と競い

Die Sonne toent nach alter Weise In Brudersphaeren Wettgesang.

定められた道を雷鳴のごとく疾走する

Und ihre vorgeschriebne Reise Vollendet sie mit Donnergang.

そして速く 何より速く

Und schnell und begreiflich schnell

永劫の円環を駆け抜けよう

In ewig schnellem Sphaerenlauf.

光となって破壊しろ

Da flammt ein blitzendes Verheeren

その一撃で燃やし尽くせ

Dem Pfade vor des Donnerschlags;

そは誰も知らず  届かぬ  至高の創造

Da keiner dich ergruenden mag, Und alle deinen hohen Werke

我が渇望こそが原初の荘厳

Sind herrlich wie am ersten Tag.

 

創造

Briah――

美麗刹那・序曲

Eine Faust Ouvertüre

 

動画サイトの詠唱

www.nicovideo.jp

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動画投稿サイトにある詠唱まとめなどを見て、最初私は鳥肌が立った。痛いのではなくかっこいいと感じた。厨二心溢れる詠唱に魂を奪われ、気にいった詠唱を一字一句完璧に覚えたり、リアル世界で音読してみたり、作業用BGMとして聞いてみたりする者もいるらしい。私のことです。

美少女ゲーとは名ばかりの男同士、女同士の殴りあい、語らいが前面に押し出されている。

ここぞという時に異能を捨て男同士のステゴロが行われることがあり、どのシーンも屈指の熱さを持つなど魅力を語れば止まらない。何度かリメイクや追加シナリオ、ドラマcdがある故『燃えゲー』ジャンルとしてはぶっちぎりの完成度を誇っているため触れるならまずは『Dies_irea〜Amantes amentes〜(コンシューマ版)』をお勧めする。PC,PSP,switchなどの多くのハードでプレイできる。

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世界観的な過去作、続編や、同じライターの別シリーズ、同会社の別ライターも似たような特徴があり現在進行形でアプリゲームが作られているためこれをきっかけにぜひ触れてみてほしい。

 

 

 

〜君と本との恋をしよう〜

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2作目は『ウグイスカグラ』の処女作、2014年に発売されその年のアワードで『ニューブランド賞』を取った『紙の上の魔法使い』です。1作目3作目と比べ知名度も低く評価も『高い』程度ですが(あと2作は『人生観が歪む』レベルの出来なので)とにかくシナリオが面白いシナリオ鬱ゲーです。

 

あらすじ:

父方に引き取られ故郷を離れていた主人公「瑠璃」は過去お世話になっていた故郷の島の図書館に再びお世話になるため戻ってくる。図書館の主の一人娘『夜子』に拒絶され、既に図書館に世話になっていた妹の『妃』には嫌われる生活を始めた瑠璃はある日自分の気持ちが、人間関係が歪まされていく感覚に陥る。ここから現実を侵食する『魔法の本』の事件に巻き込まれてゆく図書館の関係者たち。どこまでが『創作で歪んだ現実』なのか。一体誰が『主人公』なのか。さあ、既に終わった物語の続きを始めよう。

基本的に1本道の物語で個別ルートに入る=バットエンドという仕様。1作目と異なりシナリオが魅力のほぼ全てのためあまり語ることが出来ないがそれ故『読了した同士での語り合い』が捗る作品です。

新興の会社だけにシステムが弱くバグが目立ったり絵が安定してなかったりopがなかったりしますがそれを補って余りあるシナリオの面白さ。

鬱シナリオを書くことに定評があるルクル氏により紡がれる幻想世界はクリックする度心が崩れるような辛さ、絶望感をプレイヤーに与えながらでも止まらない魅力があります。

そしてとても人を選びます。どこまでも救いがないがその無常感が癖になる作品なので『金払って嫌な思いしたくない』って感性の人は一生理解できないゲームです。典型的な『シナリオがキャラを引き立てた』作品でどん底まで辛い物語故にその中で意志を示すヒロインは魅力的で最終的に全ヒロインに見せ場がある作品。特に実妹の『妃』は凄まじく『いい女』としてかっこよく動くためグランドヒロインを喰っている感すらある。

伏線の回収の巧妙さやプレイヤーもキャラも絶望へ叩き落とすシナリオは『感動』を起こす作品としてはとても面白いものです。

この物語がいつからいつまでが誰にとってのどのような物語なのか。そんなことを思わせる作品です。

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次回作の『水葬銀貨のイストリア』も私はプレイしてますがそちらは『主人公もヒロインも全員拗らせて重い何かを背負っている』というまた酷い鬱ゲーで、知り合いが途中の選択肢で心が折られてました。

2作とも体験版でかなり物語に引き込むものなのでまず体験版をやってみて性癖に合いそうならやってみることを勧めます。

 

 

 

〜伝えたいこと、たった一つ

瞬間を閉じ込めた永遠。〜

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op:

www.youtube.com

3作目は多分美少女ゲー界隈の人で知らない人はいないと思う作品。初期発表の発売日から10年延期という偉業を成し遂げた後満を持して発売、ぶっちぎりの高評価でその年のアワードの大賞をぶんどって行った問題作。2015年に枕より発売された『サクラノ詩~櫻の森の上を舞う~』。

カテゴリ的にはシナリオゲー、かつ哲学ゲー。シナリオを通してプレイヤーに哲学的なテーマの投げかけとその回答例を示すタイプでこれもまた好きな人はとことんハマるシナリオ。

 

あらすじ:(Wikipediaより)

春休み。主人公である草薙直哉の父にして、世界的な画家でもあった草薙健一郎の葬儀が終わった。直哉は「父と自分は関係がない」と言って、父が残した莫大な遺産の相続権を放棄してしまう。また、直哉の母は先に死去していたため、彼は天涯孤独の身となった。そのため、直哉にとって親戚であると同時に、直哉が通う弓張学園の教師でもある夏目藍は、自分と弟の夏目圭、妹の夏目雫が暮らす「夏目屋敷」で、直哉も一緒に暮らすことを提案。即答は避けた直哉だが、その後友人でもある圭が、母方の遺産として残され、直哉が一人暮らししていたマンションの床を水浸しにしてしまったため、結局夏目屋敷で暮らすことになった。 新学期が始まって3年生に進級した直哉のクラスには、編入生として御桜稟が入ってくる。彼女は約6年前に引っ越していった、直哉の幼なじみだった。

 

これだけ聞くとかなり普通のキャラゲー臭い。実際ベースはスタンダードな美少女ゲームの形が見えるがその本質、魅力はまた別のところにある。

共通√の1,2章終了時点ですでにグランドENDでも問題ないクオリティで、さらにそこまでを体験版として無料でプレイ可能。最後まで既読スキップでも60時間はかかる大ボリュームの今作。筆を折ったかつての天才芸術家である主人公と美術部の面子によって繰り広げられるラブコメではあるものの、随所に伏線めいた言動と多くのキャラに『過去に主人公と何かがあった』ことを匂わせています。3章は個別√としてそれぞれテーマをもって問題に向き合いつつ過去が明かされてゆき一つの結末が得られる。4章は主人公の父親と母親のなれそめがヒロインの子供時代と共に描かれている。5章の時系列は3章と同じだがどのヒロインの過去と向き合うか、というより主人公が前に進む物語です。その選択をした主人公に訪れた出来事、そしてその十年後の6章の物語はぜひプレイしてみてほしい。

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キャラが持った思想が哲学めいており、芸術、哲学や文学作品の引用が多く、学のない私では何言っているのかわからない場所がある。そのわからないを何となくで理解してその後調べてみるのも楽しい。

哲学的テーマとして『幸福とは』があり、それを芸術という舞台でどう向き合っていくのかというのが全体的な流れになっている。

この作品も何言ってもネタバレになるので多くは語れないがなんといっても主人公とその父親がかっこいいのである。『ああ、こりゃモテるわ』と見ながら思えるほどの人物で、特に3章のあるルートでは回想として主人公が余命わずかな糞親父に向けて墓碑銘を送るシーンは、作中屈指の名シーンであり涙腺を決壊させにやってくる。かつて神童だったジャンク、春日狂想の一説にとりつかれた『奉仕の人』である主人公。彼が見つけた『幸福』をぜひ自分の心で感じ、そして何かを受け取ってほしい。

このライターは本をよく読むらしい。自分では生み出せないが莫大な量の本を読んできたからそこから物語を紡いでいると。随所にある引用や文章表現からはその知識量が垣間見え、自分が何も知らないと感じてしまうだろう。が、それが魅力でもある。彼の作品は決して読みやすいとは言わないが中でもこの作品はベースが『学園ラブコメ』である分まだ読みやすい。入門用としてはこれ以上ないだろう。

 

なお、考察が本番といえるほどの作品のため前二作と異なり私以外の人と私との解釈とが180°違うかもしれない。この作品の読了後、私は4時間ギャラリーを眺め、時に涙しながらひたすら呆然としていた。一週間は『この作品から私は何を受け取るのか』がわからなかった。

加え、この作品は実は完結していない。美少女ゲーとしては破格の大容量作品にもかかわらず来年には続編たる『サクラノ刻~櫻の森の下を歩む~』が発売予定だ。

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作者は間違いなく買うので今から発売が楽しみである。

 

4、『あとがき』

私は傾向として『ご都合主義』『真面目に生きてない人物』が嫌いです。苦しんで悩んで選んだ末に失敗してそれでもまだ折れなくて、そんな自分の渇望と向き合え決断できる人物が大好きでそういった作品を欲しています。そして主人公は『かっこいい』と思える人物であるべきだと思います。だから最近はそこら辺の妥協がない女性向け漫画とかは面白いと思います。

男はかっこよく死んで女はかっこよく生きる。それが理想で、それを感じられる作品は泥臭くても大好きです。

そんな私の性癖は上記にあげた『価値観を侵す創作』に影響されています。

この文章も我ながら回りくどい表現ばっかり使って冗長になった感が否めないですが、これもDiesの影響で私の描く文がこうなったのです。

多くのそういった作品に触れ、自己の思想を蓄えること。書籍でも可能ですがそれより簡単に、身近にあるものが美少女ゲームだと思います。

しかし、そういった世間的にも名作は中古でも値段があまり下がっていません。

が、何度か話題にあがった『体験版』は商業作品ならほとんどの物に存在し、多くは2時間以上の内容です。私は100作品は体験版をプレイしていますし、その中で気になった作品を何個か買ってみるというのをお勧めします。

間違っても違法ダウンロードには手を出さないように。

では